マーケティング
インバウンドマーケティングとは?成功事例3選|顧客と自社に与えるメリットとは
インバウンドマーケティングという言葉があります。これはアウトバウンドマーケティングと「対」をなす考え方で、言わば「顧客に見つけてもらうタイプのマーケティング手法」と言えるでしょう。
ここではインバウンドマーケティングについて、考え方の概略からメリット・デメリットを解説し、その他実際のインバウンドマーケティング成功事例についても紹介していきます。
▼目次
インバウンドマーケティング=顧客に見つけてもらうマーケティング
インバウンドマーケティングは顧客に見つけてもらうタイプのマーケティング手法です。
従来のプッシュ型アウトバウンドマーケティングではなく、顧客に自社を見つけてもらうという考え方に基づくのがインバウンドマーケティングです。
顧客が欲しい(求める)情報を的確に伝え、そこから商品訴求を行うことこそが、その最大の強みです。また、情報をいかに効率良く伝えていくかが重要でもあります。
インバウンドマーケティングが伸びている理由
インバウンドマーケティングは近年様々な業界で再注目されています。
つまりインバウンドマーケティングが「伸びている」状況なのです。
ここではインバウンドマーケティングが注目され、伸びてきている理由について解説していきます。具体的には以下のような理由が考えられます。
- プッシュ型営業(アウトバウンド営業)に抵抗を持つ顧客の存在
- 情報過剰で顧客に情報が届かない
- 購買行動が「受動型」から「能動型」へ変化している
ひとつずつ解説していきます。
プッシュ型営業(アウトバウンド営業)に抵抗を持つ顧客の存在
最近は情報過多の時代にあって、アウトバウンド営業に抵抗を持つ顧客も一定数存在することから、プッシュ型営業やアウトバウンド営業そのものが通用しないケースが増えてきています。
顧客はWebを通じて常に大量の有益な情報に触れることが可能になったことから「その中から本当に必要な情報だけを選んで取得する」という行動を取ります。
これが、従来のスタイルが通用しづらい要因のひとつです。
そのため、インバウンドマーケティングが注目されるようになりました。
情報過剰で顧客に情報が届かない
同業他社が様々な営業やアウトバウンド営業を行っていることから、顧客が受け取る情報が過剰になりすぎて自社の情報がそもそも顧客に届かないという問題が発生しています。
このため、むやみやたらにプッシュ営業やアウトバウンド営業を行っても顧客が自社を見つけることが以前よりも難しくなっているのです。
どの業界でも言えることですが、特に市場競争の激しい分野では、この傾向が顕著です。
購買行動が「受動型」から「能動型」へ変化している
顧客は従来の「営業を受けて購買する」という行動ではなく、最近は自ら適切な情報を取得して検討し、購買に結びつける行動をとることが多くなっています。
このような顧客の増加に対応するため、企業側も「顧客自らが検索して探してみること」を促すような仕組み作りが必要なのです。
このように顧客の行動が多様化している現代では、企業が一方的に情報を伝えるだけのプッシュ営業では、顧客の心をつかめなくなってきており、顧客が自ら情報を探す能動的な情報収集に対応できるようにする必要があります。
これがインバウンドマーケティングの考え方です。
インバウンドマーケティングが顧客と自社に与えるメリット
インバウンドマーケティングのメリットについて解説します。
インバウンドマーケティングには多数のメリットがありますが、代表的なものとしては以下の4つが挙げられます。
- 費用対効果の改善が見込める
- 顧客からの印象が良くなりやすい
- 訪問者の行動分析が容易
- 各種マーケティングへ繋げやすい
ひとつずつ解説していきます。
費用対効果の改善が見込める
インバウンドマーケティングは、費用対効果の改善が見込めます。
なぜならマーケティングの基本である「集客」と「販売」の双方に効果があり、またワンストップでの施策が可能なことから、広告宣伝費のコストカットにつながりやすいのです。
顧客からの印象が良くなりやすい
インバウンドマーケティングは性質上、顧客が「自分で企業や商品を見つけ出す」という行動ステップが入るため、アウトバウンドマーケティングによる押し付け型の認知よりも顧客の心に残りやすくなります。
さらに人は一般的に「自分で見つけた事実や要素は正しいもの」として認識する傾向にあり、自分で見つけた情報に対し、悪い印象を持つことはあまりありません。
このことが顧客の印象やイメージアップにつながるため、効率的な事業活動が継続しやすくなります。
訪問者の行動分析が容易
インバウンドマーケティングは、顧客が自ら情報を探しに自社サイトへ訪問するといった行動が原則です。
このことは検索キーワードや各ページにおける滞在時間など、各種行動分析を容易にしてくれます。
顧客の行動を解析することで、マーケティングへの活用も容易になるでしょう。
各種マーケティングへ繋げやすい
マーケティングは本質的に顧客が自主的に情報を探しに来るわけですから、顧客の興味関心が明確で、かつ顧客の悩みや要望が明確なケースが多いと言えます。
つまり、これらのニーズに応える形でサービスや製品を提案すれば、顧客は納得しやすいということです。この手法は、ターゲットとする顧客層を絞り込むことにも役立ちます。
その他アウトバウンドマーケティングと比べて問い合わせや資料請求などのリード獲得が比較的スムーズに進むケースが多いことから、リードナーチャリングなど各種マーケティング施策へ繋げやすいといったメリットもあります。
インバウンドマーケティングが成功するまでに生じるデメリット
インバウンドマーケティングにはデメリットもあり、具体的な以下のようなポイントについては押さえておく必要があります。
- 費用対効果が不透明になりがち
- 売上に反映されるまで時間がかかる
- 常に改善や更新が必要になる
ひとつずつ詳しく解説していきます。
費用対効果が不透明になりがち
インバウンドマーケティングは顧客が自ら情報を探しにくるという特性から、顧客の心をつかむことには長けています。
しかし、その一方で広告費という概念は考え方として若干遠いため、費用対効果が不透明になりがちです。
特にSEO対策メディアなどを構築する場合、費用対効果が確定するまでに相当の期間を要するケースもあります。
売上に反映されるまで時間がかかる
インバウンドマーケティングは顧客の興味を惹くことは得意ですが、それが即座に売り上げに直結するかといえば、決してそうではありません。
興味を惹いたところからリードナーチャリングなどによって顧客の購買熱を高めました。最終的な売上につなげるという作業が必要となります。
このことからアウトバウンドマーケティングと比較すると、獲得したリードが売上に反映されるまでに時間がかかるというわけです。
常に改善や更新が必要になる
インバウンドマーケティングは、コンテンツの新しさや新しい情報の提供との戦いでもあります。
一般的にどんな業種であっても常に新しい技術やノウハウが投入されるため、その都度、ウェブサイトを改修または更新する必要が出てきます。
また、検索エンジン最適化(SEO)やソーシャルメディアマーケティングの手法についても、日々進化しており、この部分についても常日頃から改善や更新が必要となります。
インバウンドマーケティング実践の方法(流れ)
インバウンドマーケティングを実践する際の方法や流れについて解説します。
具体的には準備段階も含めると、以下の流れでインバウンドマーケティングを実践していくことになります。
- ペルソナ(顧客像)の設定
- 施策目標(ゴール)の明確化
- ペルソナに合致したコンテンツの制作・公開
- 情報発信
- ハウスリスト取得
- 効果測定
ひとつずつ解説していきます。
ペルソナ(顧客像)の設定
インバウンドマーケティングを実行する際、まず最初に作成するのが「顧客の想定人物像」です。
理想とする顧客の人物像をきちんと設定しておかなければ、インバウンドマーケティングが機能しません。
設定すべき属性としては
- 性別
- 年齢
- 職業
- 居住地
- 家族構成
- 趣味嗜好
- 健康状態
などがあり、商材に合わせて適宜設定を行います。
またBtoBの場合は対象法人がどのような企業であり、どんな課題を抱えていて、具体的にどのようなフローを持つ企業であるかなどの詳細な設定が必要です。
施策目標(ゴール)の明確化
インバウンドマーケティングを実施する際は、必ず「施策目的」を明確にしておく必要があります。
例えば何を購入して欲しいか、どのくらいの予算を見て欲しいかなども明確化しましょう。
ペルソナに合致したコンテンツの制作・公開
インバウンドマーケティングを行う上で重要なのは「誰に」「何を」伝えるか、です。
この2点をしっかりと認識し、設定した「顧客の想定」にマッチする内容でなければ、そもそも意味がありません。
インバウンドマーケティングで獲得したリードがそれぞれ、どのような立ち位置にあり、また現在の課題はどのようなことか?を分析し、それぞれのペルソナの熱量に応じたコンテンツを公開することが肝要です。
情報発信
インバウンドマーケティングにおいて最も重要なのは「顧客に見つけてもらえる」ことです。
そのため、適切なタイミングや方法で情報を発信しなければいけません。
ただし、一度情報をキャッチしてもらうことさえできれば、あとは顧客が定期的にメディアやSNSへアクセスしてくれることが考えられます。
その入口となる取り組みには、SNSマーケティングやSEO対策などがあります。
ハウスリスト取得
リードの獲得ともいいます。具体的にはサイトからのお問い合わせやSNSキャンペーンへの応募などが獲得リードとなります。
その他メルマガや資料請求などの申し込みがあった際にも、メールアドレスや氏名などの情報を含んだリードが獲得できるでしょう。
ここで得られたリードは適切にナーチャリングすることで、関係性の構築を行うことができます。
効果測定
「顧客が求める情報を適切に供給できているかどうか」を中心に効果測定をします。
インバウンドマーケティングはあくまでも「潜在顧客の発掘」が目的ですので、集めただけでは不十分です。
最終的に顧客が自社の商品を購入したり、サービスを利用してくれることが重要です。
そのため、効果を測定して「見込み客の満足度」を高めることが非常に大切です。
インバウンドマーケティングの成功事例
国内の事業者でインバウンドマーケティングに具体的に成功している、代表的な事例をピックアップしました。
以下のような方法でインバウンドマーケティングに成功しています。
事例1:キリン株式会社(自社製品に合う食べ物の紹介)
キリン株式会社は「キリンレシピノート」というレシピの公開を取り組みとして行っています。
これはキリン株式会社の販売するビールや紅茶などのドリンクに合う食べ物やそのレシピが紹介されているもので、この中では商品の宣伝はほとんど行われていないのも注目すべきポイントです。
あくまでもインバウンドマーケティングの本質である「顧客に適切な情報を提供することで自社の価値を発見してもらう」ことを徹底している事例と言ってよいでしょう。
事例2:株式会社ネオキャリア(人事に寄り添うメディア)
人材領域の事業を中心にその規模を拡大してきた株式会社ネオキャリアは、人事向けオウンドメディア『HR NOTE』を運営しています。
元々はテレアポが強い企業だったネオキャリアですが、最近は同オウンドメディアを通して、人事に寄り添うメディアを展開しています。
これはインバウンドマーケティングの考え方の他「脳内SEO(検索順位ではなく、人が自社メディアを思い浮かべる状況を作ること)」を意識した取り組みです。
「〇〇といえばこの会社!」など、オフラインの場で話題にのぼるような効果を狙った施策と言えます。
事例3:土屋鞄製造所(SNSを利用した成功事例)
1965年創業の老舗である同社も、Facebookを利用したインバウンドマーケティングに成功しています。
具体的にはFacebookで写真による商品紹介や革製品の使い方を掲載し、これを公式サイトとも連動したことで、公開初年に28万人以上のファンを集めることに成功しています。
インバウンドマーケティング成功の鍵は「顧客との信頼性」
インバウンドマーケティングは、顧客と良好な関係を始めるにはうってつけの手法です。
その他ファンマーケティングのような側面を持つことからも、顧客との信頼性がインバウンドマーケティング成功の鍵であることは言うまでもありません。
そしてインバウンドマーケティングから、実際の見込み客との接触があるというケースもあります。
このとき重要なのは日程調整の円滑化と、日程調整ミスのリスク回避です。
例えば日程調整ツールである調整アポを利用することによって、日程調整が円滑化でき、なおかつカレンダーツールなどへスケジュール情報を連携できることから、日程調整ミスといったことが極めて起こりづらくなります。
顧客との信頼性を勝ち取るため、日程調整ツールを利用してみましょう。
インバウンドマーケティングは新しい消費者購買行動に対応できる
インバウンドマーケティングは昨今様々な大企業でも実践している「顧客に自社の魅力を見つけてもらう」タイプのマーケティングです。
受動型から能動型へ変化しつつある新しい消費者の購買行動モデルや、各種マーケティングへ繋げやすく、柔軟に対応できるインバウンドマーケティングは注目を集めています。
また、アウトバウンドマーケティングは異なり、予算の面や獲得したリードの熱量といった面で大きなメリットがあります。
特に中長期的なスパンでリードやファンを増やしたいといった課題のある事業・プロダクトでは、インバウンドマーケティング施策が大いに役に立つことでしょう。
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