行政で進むデジタル化、中小企業ではなぜ進まない?
DX特集
政府は2021年9月にデジタル庁を設立し、社会全体のデジタル化を推進しています。
しかし日本は「デジタル競争力ランキング」において20位前後で推移しており、世界の中で上位とは言い難い状況です。
その要因の一つとして、日本の中小企業でのデジタル化が進んでいないことが挙げられます。
本記事では、デジタル化の概要やその必要性について分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
デジタル化とは?その意味やいつから始まったのか歴史を簡単におさらい
令和3年情報通信白書によると、デジタル化とは「デジタル技術を用いた単純な省人化、自動化、効率化、最適化」のことです。
引用:令和3年版 情報通信白書|デジタル・トランスフォーメーションの定義|総務省
デジタル社会の実現に向けた重点計画(2022年6月7日に閣議決定)では、デジタル社会のビジョンを次のとおり示しています。
引用:デジタル社会の実現に向けた重点計画|デジタル庁
このビジョンを実現するためにも「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を政府は推進しているわけです。
政府のデジタル化政策は、e-Japan戦略(2001年)をはじめとしたICTインフラの整備を進める第一期、ICT活用を推進する第二期、デジタルデータの活用を推進する第三期を経て、デジタル社会の構築を目指す第四期を迎えています。
デジタル化はなぜ必要なのか?
ビジネスレベルで考えると、デジタル化が必要な理由は主に次の4つが挙げられます。
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人手不足でも業務を滞りなく進めるため
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働き方改革に対応した働きやすい環境づくりのため(テレワークやフレックスタイム制)
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コスト削減や労働環境の改善を目的とした業務効率化を実現するため
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新しいビジネスモデルを構築し、ビジネスチャンスを拡大するため
つまりデジタル化を進めると、従業員の働くモチベーション向上、最終的には顧客満足度や企業価値の向上につなげられるということです。
ところで官民にとってデジタル化は必要とされているものの、「デジタル競争力ランキング」をみると日本は「技術」「将来への備え」の順位が世界的にみて下降傾向にあります。
そこで日本のデジタル化の遅れに危機感を抱いた菅内閣総理大臣(当時)が、デジタル改革関係閣僚会議(2020年9月23日開催)においてデジタル庁の創設を決めたというわけです。
行政サービスのオンライン化に向けた「デジタル化3原則」とは
政府は、行政サービスのデジタル改革を断行する方針です。
IT政策ロードマップ (2008年6月)を策定し、2010年を目処に複数の行政手続きが1カ所で完結できる「国民本位のワンストップ電子行政サービスの実現」を掲げていました。
マイナンバーカードを利用した住民票などのコンビニ交付は導入されていますが、完全なワンストップサービスはまだ実現していません。
そこで政府は、次のような「デジタル化3原則」を打ち出して行政サービスの100%デジタル化を目指しています。
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デジタルファースト:
個々の手続きやサービスについて一貫してデジタルで完結できる社会の構築 -
ワンスオンリー:
行政手続きにおける添付書類の撤廃(一度提出した情報は再提出不要) -
コネクテッド・ワンストップ:
民間サービスを含め、1か所でサービスを完結(引っ越し、介護、死亡・相続など)
デジタル化とはIT化やDXとどのように違うのか?
ここではデジタル化と、IT化やDXとの違いについて見ていきましょう。
デジタル化とIT化との違い
IT化とは、コンピュータ関連のテクノロジーを駆使して、情報を効率的に扱えるようにすることです。
「IT」についておさらいすると、Information Technologyの略で、日本語では「情報技術」と訳されています。
ITとは、情報を処理するコンピュータやネットワーク、データベースなどの技術を具現化したモノと考えると分かりやすいでしょう。
デジタル化は包括的な概念です。
一方のIT化は、デジタル化を実現するための手段や方法の1つと考えられます。
デジタル化とDXとの違い
DX(デジタル・トランスフォーメーション)は広い意味で、デジタル化の範疇(はんちゅう)に含まれます。
DXとは、簡単に言えばデジタル化によって働く人のマインドや企業文化、業務プロセスや製品・サービスに変革を起こすことです。
DXについて別の言い方をすれば、「サプライチェーン全体の効率化」「エコシステム全体での最適化」といった考え方もあります。
DXの身近な例は、AIやセンサー技術を駆使したサービスの無人化です。
たとえば無人コンビニの取り組みなどが挙げられます。
なぜ中小企業ではデジタル化は進まないのか?
とくに中小企業では、なぜデジタル化が進まないのでしょうか?
ものづくりの現場で称讃されるベテランの技術や技能は、デジタル化されていないものの代表例かもしれません。
デジタル化を阻害する要因は、次のようなものが挙げられます。
- 運用・導入ノウハウ不足
- 理解不足でイメージがわきにくい
- ITスキル・リテラシー不足
- コスト負担と分かりにくい費用対効果
- 仕事のやり方を変えたくない社内の反対勢力
次に、デジタル化を進めるためのポイントについて見ていきましょう。
デジタル化を進めるには具体的なイメージを把握することから
経営資源に乏しい中小企業にとって、デジタル化は簡単に導入できる投資ではありません。
そのような状況でデジタル化を進めるには、自社の業務プロセスで解決したい課題を経営者が把握することが重要です。
デジタル化によって何ができるようになるのか理解して、具体的な効果をイメージしましょう。
まずは自社が抱える課題の解決に有効なITツールやソフトウェアについて、成功事例の紹介記事などで情報収集するのも1つの方法です。
成功事例をもとに将来のビジョンを描けば、デジタル化へのモチベーション向上に役立ちます。
なおIT投資には、専門的な知識が必要な場合があります。
導入費用が高額になる場合には、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に活用できる「IT導入補助金」を確認してみてください。
なかには、費用対効果の算出がしづらいサービスもあります。
地域の商工会議所などを通じて支援機関を探し、専門家のアドバイスを受けることも検討するとよいでしょう。
まとめ
本記事では、政府が推進するデジタル化について解説しました。
デジタル化によって業務効率化やコスト削減はもちろん、従業員の働くモチベーションを向上させ、企業価値を高めることが可能です。
自社のデジタル化を、企業の顔である受付からスタートしてみてはいかがでしょう。
RECEPTIONISTなら受付の無人化をスムーズに実現し、DXを推進する企業だとの印象づくりにも役立ちます。