マーケティング
アウトバウンドマーケティングの意味は?成功に導いた事例6選やメリットデメリット
最近のマーケティング活動は、主にインバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングに分かれます。
いわゆる「見込み客からの接触を待つ」タイプのインバウンドマーケティングに対してアウトバウンドマーケティングは「顧客へ直接アプローチするタイプ」の営業・マーケティング手法と言えます。
そこで今回は後者、アウトバウンドマーケティングについて、具体的な手法やメリット・デメリットを解説するとともに、効果的にアウトバウンドマーケティングを行うための「成功のカギ」について解説していきます。
▼目次
アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの違いは?
アウトバウンドマーケティングはインバウンドマーケティングの対極に位置するもので、従来の日本型営業とも言えます。
簡単に言えば、
- アウトバウンドマーケティング:顧客へ直接アプローチする
- インバウンドマーケティング:顧客に見つけてもらう
といった意味の違いがあります。
アウトバウンドマーケティングは、具体的なイメージをつけるなら新規顧客開拓のための飛び込み営業や、かつて「得意先回り」「御用聞き」などと呼ばれた、定期的な既存顧客への訪問などがあります。
インバウンドマーケティングで潜在顧客を集めるのとは異なり、見込み客が潜在的に存在するであろう場所に直接出向く(飛び込む)ため、新規顧客開拓の面では特に効果を発揮する手法と言ってよいでしょう。
総括すると「昔ながらの営業手法」ということも可能です。
特に先述の「御用聞き」などは古くは江戸時代の商習慣でもあったことから、日本の企業は一般的にアウトバウンドマーケティングをその基本として認識している傾向があります。
アウトバウンドマーケティングの代表的な手法
アウトバウンドマーケティングの代表的な手法について解説していきます。具体的には以下のようなものがあります。
- セミナーの開催
- 広告掲載
- テレアポ営業
- ダイレクトメール
- SNS広告
- 動画広告
以下でひとつずつ解説していきます。
セミナーの開催
様々な業界の企業や団体が、自社製品の勉強会や業界全体の勉強会、また新製品発表会などを定期的に開催していることがあります。これらがセミナーです。
これらのイベントには、主に以下のような目的があります。
- 企業や団体にとっての潜在的な顧客層を掘り起こすこと
- 新商品やサービスの導入を検討している顧客層の掘り起こし
- 興味があるものの購入までは踏み込んでいない顧客層を顕在化すること
そしてこれらのイベントは、本質的に全てアウトバウンド営業に直結します。なぜなら「自分から購買に向けて動いてくれる可能性のある、見込み客の層」を「能動的に」集めているからです。
もちろん、参加者すべてが商品の購入を検討するわけではありません。しかし、会場に来た人は「自分が求めていたものかもしれない」と感じることで、アウトバウンド営業を受け入れやすい状態になりやすいのです。
広告掲載
広告掲載もアウトバウンド営業の代表的な方法です。
広告媒体は様々ありますが、最近は最近は業種を問わずWebメディアが多く利用されています。Web広告の場合は掲載先や配信先を任意で指定できることから、狙った層により確実にリーチできるメリットがあるからです。
また、新聞・雑誌・テレビなどのマスコミュニケーションも基本的にターゲットとなる消費者へのアウトバウンド訴求を目的としています。
最近はビジネス用グループウェアのテレビCMなども行われているため、BtoB目的での活用も行われています。
テレアポ営業
アウトバウンド営業の最たるものといえばこれです。
関係性が薄い新規の見込み客後方へ向け電話をかけ「弊社と契約しませんか?」と売り込みをかける営業スタイルです。
この方法はそもそも見込み客を獲得するため、また見込み客との接触の第一歩となる方法であることから、アウトバウンドマーケティングの基礎と言っても過言ではありません。
商材にもよりますが、最近は電話一本での営業獲得というより見込み客・リードの獲得がメインの目的となりつつあります。
なおテレアポ営業についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ダイレクトメール
テレアポ営業同様に、接点が少ない相手へ向けて手紙や封書を送り、見込み客を引き寄せることが主な役割です。
ダイレクトメールは大きく分けて、
- 「カタログ」型のダイレクトメール
- 既存顧客向けのキャンペーン
の2種類があります。
「カタログ」型のダイレクトメールは、企業の扱う商品を掲載した冊子を郵送して、それを見た人に「資料請求」してもらうという方法です。
「既存顧客向けのキャンペーン」は、特定の顧客宛てに、お得な情報を送ることで購買意欲を高めることを目的としており、登録した会員に対し不定期に情報を発信するというものが多い傾向にあります。
どちらもアウトバウンド営業で重要な役割を持ちます。
SNS広告
最近はSNSで広告を打ち、より狭いセグメントへ対して訴求を行うのが主流になってきました。
具体的にはFacebook、Twitter、LINE、Instagram、TikTokなどでの広告宣伝活動を指します。特にSNSの利用データや各ユーザーの活動状況に応じて、ピンポイントで訴求が出来る事から費用対効果が良好なアウトバウンド広告手法として認知され始めています。
基本的には個人・法人、また業種を問わず誰でも自由に投稿できるのが特徴的です。
現在では来店必須のビジネルモデルからクラウドWEBサービスの運営企業まで、多くの企業・事業者が積極的に利用しており、
特に中小企業では日常的に使われていると言ってよいでしょう。
動画広告
最近はスマートフォンの普及・通信回線環境の向上に伴い、Webサイト上で動画を流してプロモーションをするケースが増えてきました。
特徴としては「その場で興味を持ってくれた人」が次のステップに進みやすく、さらに「Webページでの訴求」よりも「離脱」の可能性が低くなる点があります。
動画は文字に比べて「情報が伝わりやすい」というメリットがあることから、こちらもアウトバウンドの施策としては有効打と考えてよいでしょう。
アウトバウンドマーケティングのメリット
アウトバウンドマーケティングのメリットについて解説します。
具体的にアウトバウンドマーケティングには以下のようなメリットがあり、どれも事業活動の規模を拡大できる効果が期待できます。
- 不特定多数への広いPRが可能
- 露出が高いため認知拡大効果も見込める
- 顕在層の成約スピードが早い
こちらも順に解説していきます。
不特定多数への広いPRが可能
アウトバウンドマーケティングは不特定多数への広いPRが可能なことから、認知拡大の効果があります。特に新規商材や知名度が伴わない商材の場合などに効果的です。
不特定多数への幅広いPR活動を行うことにより、まずは広く浅くリードを獲得できるメリットもあるでしょう。
獲得したリードはインサイドセールスがリードナーチャリング施策を丹念に行うと、より高い成約率を見込めるようになります。
カスタマージャーニー(顧客が商材を認知してから、購買に移るまでの一連の流れ)の一番最初の部分にあたることから、新規商材では特にこのメリットが役に立ちます。
露出が高いため認知拡大効果も見込める
マーケティングの全体の流れの中で、まずは商品について知っている層を増やす(認知拡大)という目的・KPIを設定するケースが往々にしてあります。
このとき活用できるのが、アウトバウンドマーケティングの考え方です。
アウトバウンドマーケティングはインバウンドマーケティングとは異なり露出が高いことが最大の特徴のひとつです。
よって露出が高いということはまずの商品について知ってもらう機会が多いということであり、そこから潜在顧客へアプローチすることが可能になります。
また、ここで獲得したリードへの訴求については潜在顧客がすでにある程度、関心を持っている状態で接触できるため、熱量が高い間に適切な訴求を行うことで成約に繋げやすいというメリットもあります。
顕在層の成約スピードが早い
アウトバウンドマーケティングは「見込み客へこちらからアプローチする」という方式を取っているため、顕在層に適切なリーチを行えればそれだけ制約スピードも早くなる特徴があります。
具体的にはWeb広告のひとつ「SNS広告」がこれに該当します。各SNSに表示される広告の中には、顧客の興味や関心を反映したものが多いという特徴があります。
例えばLP(訴求のためのページ)の制作業者を探している企業担当者が個人的なSNSを閲覧中、LP制作業者のメリットが詰め込まれた広告を見たとします。
この時の行動としてはまず、高い確率でLPを確認するでしょう。
その際、予算やさまざまなニーズが合致すれば、そこから直接問い合わせ獲得や、場合によっては成約に結びつくケースも十分に想定されます。
このように顕在層の制約スピードが早いのもアウトバウンド営業の特徴です。よって顕在層が一定数存在すると考えられる商材では、アウトバウンドマーケティングが効果的なケースが多いのです。
アウトバウンドマーケティングのデメリット
アウトバウンドマーケティングにはデメリットも存在します。具体的には以下のようなデメリットが考えられるため、良し悪しを正確に判断しておくことが重要です。
- 広告施策コストがかかる
- リード獲得までに時間がかかる
- 獲得リード(見込み客)の属性にバラつきがある
- 企業イメージ毀損の可能性がある
- 成果が「予算」によって左右されやすい
ひとつずつ確認していきましょう。
広告施策コストがかかる
一般的に広告を打つことにはコストがかかります。
アウトバウンドは「見込み客のいる場所に出向く」ため、その分だけ広告にかける予算が必要となります。つまり広告コストがかけられない場合は、アウトバウンドマーケティングそのものが不調に終わる可能性も否定できないということです。
リード獲得までに時間がかかる
アウトバウンドマーケティングは、適切なリードを獲得するまでには時間がかかることもデメリットの一つです。
また、リードを獲得した後も「ターゲットとした相手に適切にアプローチし続けること」「継続的なフォローアップをすること」が求められます。
そのためには、相応の時間と手間が必要になることは言うまでもありません。
リードジェネレーションの施策としてはうってつけのアウトバウンドマーケティングも、即座の濃厚なリードの獲得には適していないというわけです。
獲得リード(見込み客)の属性にバラつきがある
アウトバウンドマーケティングはいわゆる「地引き網漁」のような施策であることから、獲得したリードにはそれぞれ温度感や属性にばらつきがあるのが通常です。
特にBtoBの案件の場合、ターゲットとする顧客層に偏りが見られることもよくあります。
獲得したリードの中には興味本位で接触してきたなど、リードとしての価値の低いものが含まれていたり、すでに他社での契約がある乗り換え検討中のリードなど一筋縄で管理できないものが多く含まれます。
よってリードクオリフィケーションなどのようなリード選別作業が必要です。
企業イメージ毀損の可能性がある
企業イメージ毀損の可能性があることも、押さえておかなければならない重要なデメリットです。いくら良い内容で訴求したところで、それがマイナスに働くようであれば意味がありません。
アウトバウンドマーケティングはユーザーから見れば反復継続して売り込みを受けることになるため、嫌悪感を持つリードも一定数存在する事から、方法を一つ間違うと企業イメージが毀損したり炎上に繋がる恐れがあることも懸念材料の一つです。
成果が「予算」によって左右されやすい
アウトバウンドマーケティングは、基本的に広告費をかけることに比例して成果を上げることができます。
原則として予算をかければかけるほど、アウトバウンドマーケティングは成功しやすいというわけです。
よって予算の状況によってその成果が左右されやすく、定量的な効果測定がしづらいというデメリットもあります。
その他、潤沢な予算がないキャンペーンではアウトバウンドマーケティングがそもそも不適切というケースもあります。
アウトバウンドマーケティングが向いている商材
アウトバウンドマーケティングが向いている商材について解説します。具体的には以下のような商材はアウトバウンドマーケティングに向いていると言えるでしょう。
- 新規リリース商材
- テストマーケティング中の商材
- 認知拡大フェーズにある商材・案件
- 期間限定のキャンペーンなど
ひとつずつ確認していきます。
新規リリース商材
新商品のリリース時などは、アウトバウンドマーケティングを最大限に活用したいところです。
特に新商品のリリース時は商品としての認知度が低いケースもあり、また商品の特性・性能によっては顕在層へ即座にアピールできるという可能性もあることから、まず検討しておきたいシーンのひとつです。
テストマーケティング中の商材
テストマーケティング中の商材のキャンペーンを実施する場合も、やはり顕在層の取り込みが課題となります。またどれほどの顕在層・潜在層がいるかテストをしたいというケースでも、アウトバウンドマーケティングが役に立ちます。
不特定多数にPRできることにより、フラットなデータで効果測定が可能だからです。
アウトバウンドマーケティングを活用することで、マーケティング中商材の成約に繋がるメリットが期待できるほか、今後のマーケティング活動の中で重要な効果測定も可能となります。
認知拡大フェーズにある商材・案件
流行りのSDGs案件など、CSR色のある案件を含め、認知拡大を目指す商材ではアウトバウンドマーケティングを活用していくべきでしょう。
すでに一定数の顧客が存在し、これから認知拡大を行っていくフェーズにある案件では特に、既存顧客のコメントや感想などを交えたマーケティングを取り入れることでリードの数を爆発的に増やせる可能性もあります。
期間限定のキャンペーンなど
いわゆるフラッシュマーケティングなどもこれに該当します。
期間限定キャンペーンなどはとにかく時間がないため、広告主側にとっては予算・制限時間の都合から、できるだけ短期間に多くの人にリーチさせたいところです。
インバウンドマーケティングのように時間を必要とする施策が取れない案件では、とにかく効率的に多くの人へ商材の認知を働きかける必要があります。
そこでアウトバウンドマーケティングを積極的に活用することで、より効率的に潜在顧客を刈り取れる可能性があります。
アウトバウンドマーケティングの成功事例
アウトバウンドマーケティングの成功事例を3つ紹介します。
以下のような取り組みで、アウトバウンドマーケティングを成功に導いた企業があります。
事例1:エーザイ株式会社(YouTube広告の活用)
エーザイ株式会社はYouTube広告の活用によって効果的なアウトバウンドマーケティングを実現しています。
漫画のような動画で、見やすい内容にまとめられた動画広告を展開しており、漫画を利用することで、商品の効果をより目立つように描写しています。
また、商品に興味を持ちそうなターゲットを細かく絞り込み、ターゲット像毎に商品への関心を高める広告を作成し、Web広告ならでは顧客に最適された広告を配信し、商品へのリーチの獲得に成功しています。
事例2:オイシックス(Facebook広告の活用)
野菜の定期配送を行うオイシックス(Oisix)では、Facebook広告の有効活用によりアウトバウンドマーケティングを成功させています。
広告文→LP→購入という流れよりも、広告文→オイシックスサイトより直接購入という流れが多く、Facebook広告を利用して「わかりやすい写真」を用いる戦略を取り入れたことにより、高いコンバージョン率を実現しています。
事例3:日本航空(インスタグラム広告の活用)
日本航空ではインスタグラム広告を活用し、ラグビー日本代表を応援する広告を配信しました。
このアウトバウンドマーケティング施策は結果的に多くのリーチを獲得し、同社のイメージの向上や認知拡大に大きく貢献しました。
具体的には日本国内でラグビーが話題になっているタイミングで、ラグビーのルールや豆知識を15秒で知ることができる内容を展開しており、特段自社のサービスに直結するような訴求を行っていないということも注目すべきポイントでしょう。
あくまでもブランドイメージの向上と認知拡大にパラメーターを振り分けた施策といえます。
なお、この試作で使用した動画は15秒と短い時間のため、離脱や広告そのものに嫌悪感を持つユーザーの発生もほぼ見られませんでした。
アウトバウンド営業を成功させるための「本質的な鍵」はアポイントにあり
アウトバウンド営業の先に待っているのはまず、顧客との初回接触というケースがほとんどです。
つまりアウトバウンドから顧客との信頼関係構築の入り口となるのが初回アポイントであり、ここをより効率化したり、顧客満足度を向上させることこそが「アウトバウンド営業の成功の鍵」といっても過言ではないでしょう。
反対に言えば、どれほど効果的なアウトバウンドマーケティングを行っても営業担当者とアポイントを設定する段になって手違いや連絡不徹底が発生すると、せっかくのリードを逃してしまうことにつながります。二度とそのリードが戻ってこない可能性もあります。
そこで、アウトバウンドマーケティングを行う企業及びその担当者がまず気をつけたいのがアポイント調整の効率化という部分です。裏を返せば「一番最初のおもてなし」と言っても良いでしょう。
企業担当者がどれほどの熱量を持って対応ができるかをPRできる、最も大きなチャンスという言い方もできます。
結論としてアポイントの調整は属人的な努力によるものではなく、調整ツール導入による効率的・自動的な調整を取り入れるべきです。日程調整の自動化は業務の効率化だけではなく、人為的なミスを減らし、使いやすさから顧客満足度の向上につながります。
特に調整アポは直感的なユーザーインターフェースで営業担当者・顧客双方がスムーズかつ、ストレスフリーにお互いの日程をすり合わせられるツールです。
営業担当者が対応できる日程条件を事前に設定しておくことで自動的に候補日が表示され、顧客側はその中の時間から自分で対応できる時間をクリックするだけで日程の調整が完了します。
その他、営業担当者やチームで利用しているグループウェア・カレンダーツールに日程を自動的に転送することも可能なため、スケジューリングのミスや取りこぼしがほぼないのも嬉しいポイントでしょう。
アウトバウンドマーケティングで見込み客に直接アプローチ
今回は、アウトバウンドマーケティングについて解説しました。
アウトバウンドマーケティングは不特定多数にPRできる方法であり、特に新規商材やテストマーケティング中の商材と組み合わせることで、より大きな効果を発揮する手法ということがご理解いただけたのではないでしょうか。
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