オフィスから電話が消える?2024年の固定電話廃止の問題や企業の動き
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「オフィスから固定電話が消える」という話を聞いたことはありますか?
NTT東日本・西日本は、ともに2024年1月1日から電話回線をアナログ回線からIP網へ切り替えることを発表しました。
IP電話とはインターネット回線を用いた電話のことで、ネット回線に接続された機器であれば何でも通話が可能となります。
それに伴い「固定電話が廃止される」という話が広がり始めているのです。
電話回線がIP網になることで何が変わるのかついてこの記事では解説していきます。
▼目次
固定電話→IP電話への切り替えとは
2024年に電話回線がアナログ回線からIP網に切り替わるとは具体的にどういったことかを説明したものがこちらの図になります。それぞれの図の左側が「固定電話」、右側が「IP電話」を指します。
これまで、発信者側と受信者側の電話はPSTN接続を行っており、その設備として中継交換機・信号交換機が使って音声データを伝送していました。
IP電話へ移行後は、中継・信号交換機がIP網で接続され、中継ルーターでデータの送受信が行われることになります。
この設備切替に伴い、アナログ回線からIP網に切り替わるため、固定電話がIP電話化するのです。
2024年に固定電話が廃止!その理由とは
では一体なぜ電話回線がIP電話へ切り替わるのか、そしてそれが固定電話廃止にどう繋がるのかについて説明します。
固定電話サービスの加入件数が減少しているため
出典:固定電話の加入契約者数の推移|総務省|令和2年版 情報通信白書
1つ目の理由は、NTTが提供する固定電話サービスの加入件数が年々減少しているからです。
総務省の発表によると、NTTの固定電話サービス契約数(上図の黄色グラフ)は2009年度の3,793万件から2019年度には1,693万件と、5割近くも大幅に減少しています。
2022年度時点では約1,460万件と、今なお年々減少しています。
この背景は、IP電話サービスの加入者(上図の緑色グラフ)が全国的に増加したためと思われます。2022年度時点でのIP電話利用数は3,594万件で、固定電話全体のうち約7割を占める結果となっています。
そういった状況から、NTTは固定電話からIP電話へのシフトを進め、IP電話サービスを優先しています。
中継・信号交換機が老朽化して維持が難しいため
冒頭で説明した通り、従来の固定電話サービスはPSTN接続を行っていますが、これに用いられる中継・信号交換機の老朽化により、サービス維持が難しくなったのが2つ目の理由です。
固定電話サービスの加入件数が減少により、固定電話で使用されている中継・信号交換機の製造は2015年に停止されます。
現在固定電話サービスで使用されている中継・信号交換機の老朽化により、2025年頃には維持が難しくなると予想されています。
そのため、従来の固定電話サービスに該当するIDNネットのディジタル通話モードのサービスは提供終了を迎える、ということです。
固定電話とIP電話の違い
固定電話がIP電話に切り替わると、どのようなメリット・デメリットが出てくるのでしょうか?固定電話とIP電話を比較しました。
固定電話 | IP電話 | |
---|---|---|
電話回線 | 交換期同士で伝送路を結んで回線を占有し通話 | インターネット回線を利用して通話 |
通話料金 | 距離に応じて高くなる | 距離に関係なく一律 3分8.5円 |
利用できる番号 | 「市外局番(03など)+市内局番+加入者番号」 | 「050+事業者識別番号+加入者番号」 |
通話できる番号 | 特に制限なし | フリーダイヤルや警察署・消防署への通話ができない場合あり |
さらにそれぞれの項目について、固定電話とIP電話の違いについて詳しく解説します。
電話回線
固定電話とIP電話では、使用する電話回線が異なります。
固定電話は、交換機同士で伝送路で結び、通話回線を占有して通話します。
一方IP電話は、インターネット回線を使用して通話します。インターネット回線を使用して通話するため、発信地の特定はできません。
かつては、IP電話の通信トラブルや音声品質の不安定さが課題視されていましたが、5G回線の登場により通信速度が大幅にアップしたことから、通信トラブルや音声品質の差は縮まっています。
電話料金
固定電話がIP電話に切り替わると、インターネット回線を利用するため通話料を安く抑えることができます。
固定電話は、距離が遠いほど多くの局舎を中継しなければならないので、距離に応じて通話料金が高くなります。
その一方で、IP電話はインターネット回線を使用するため、発信者と受信者の距離に関係なく通話料金が一律となります。そのためIP網に切り替えれば、通話料が安く抑えられます。
ちなみに、固定電話でもIP網へ移行後はインターネット回線を利用することから、距離に関係なく料金は一律で3分8.5円となります。
使用する電話番号
固定電話は発信地ごとに「市外局番(03など)+市内局番+加入者番号」という電話番号を使用します。
IP電話の場合、一般的には「050」から始まる電話番号を使用することとなります。これは発信地の特定ができないことに起因しています。
050から始まる電話番号はIP電話の番号として定着していますが、ビジネス用途などでは市外局番から始まる電話番号の方が信頼度は増すというケースもあります。
そういった場合でも、サービスによっては03、06など市外局番から始まる0ABJ番号を使用することも可能なので、必要に応じてIP電話のサービスを選びましょう。
通話できる電話番号
固定電話の場合、通話先の番号に制限はありません。
一方IP電話では、着信側が通話料を負担するフリーダイヤルが使用できなくなることが多くあります。
また、発信者の位置情報を通知する機能のないIP電話では、警察署や消防署などへの緊急通報ができない場合もあるので注意が必要です。
近年固定電話を解約する企業が増えている
今回解説した2024年の固定電話廃止だけでなく、働き方改革や感染症対策、DX推進などの社会的背景から、オフィスの固定電話を廃止する企業が増えています。
固定電話の代わりとしてクラウドPBXなどのビジネスフォンを導入し、全社員または必要な社員にスマートフォンなどの社用携帯を配布するのが主流となっています。
クラウドPBXとは、従来はオフィス内に設置する必要のあったPBX(電話交換機)をインターネット経由で利用できるサービスのことです。そのためIP電話と同様に、インターネット環境さえあれば、低コストかつ手軽に内線・外線電話や転送などを行うことができます。
ここでは、企業が固定電話をなくすメリットについても紹介していきます。
場所を問わず会社の電話を受けられる
固定電話をやめてスマホを社員が持つようにすれば、オフィスにいなくても顧客や社員同士でスムーズに連絡を取ることができます。
近年ではリモートワークや在宅勤務を積極的に実施している企業が増加しています。こうした場所を問わない働き方が一般的になってくると、必然的にオフィスにいる社員も少なくなり、電話応対も難しくなります。
スマホで企業への電話を受けられるようになれば、場所や時間を問わないフレキシブルな働き方を取り入れることができます。
電話の取次ぎや電話対応のための出社が不要になる
オフィスに固定電話がある場合、取引先からの電話はもちろん、営業電話や来客の内線電話など、様々な電話がかかってきます。
直接担当者に繋がれば問題ありませんが、「電話がなったらすぐ対応する」という文化のもと、オフィスにいる誰かが電話を取る→担当者へ取次を行う、という余計な業務が発生してしまいます。
また電話対応のために、誰かは出社しないといけない、リモートワークができない、という状況にもなってしまいます。
オフィスから固定電話を無くすことで、必要な電話や通知は担当者に直接繋がるので、無駄な取次や電話のための出社という縛りから解放されます。
固定電話の導入、維持コストを削減できる
固定電話の場合は導入費用はもちろんのこと、通話料金や維持管理のためのランニングコストがかかります。
IP電話やクラウドPBXへ移行した場合、電話機器の維持管理コストや通話料金など、固定電話よりもぐっと抑えることができるため、電話にかける固定費を削減できます。
働きやすいオフィスにできる
固定電話を設置していると、日中は常に電話が鳴るということもあるでしょう。
株式会社ワークによる「オフィス環境に関する調査」によると、オフィスに求めることとして「業務に集中できる環境が用意されている」という回答が1番多く集まりました。
固定電話の鳴る音で集中力が途切れてしまうという経験が一度はあるのではないでしょうか?
オフィスから固定電話をなくすことで、従業員が求めるような集中できるオフィス環境を提供でき、業務の生産性向上や従業員満足度の向上に繋がると言えるでしょう。
固定電話がなくなることで、オフィスのフリーアドレスやABW化など、より柔軟で自由に働ける最先端なオフィスづくりに取り組むことも可能となります。
固定電話廃止と同時に検討すべきサービス
固定電話を廃止する場合、これまで電話で行っていた社内外のコミュニケーションを変える必要があります。
ですがどれも従来の固定電話よりもより効率的、より低コスト、より先進的な働き方ができるものばかりなので、固定電話廃止にあわせて導入検討をおすすめします。
外線電話
オフィスへかかってくる外線電話は、クラウドPBXの導入がおすすめです。社員のスマホやPCを利用して、必要な電話は担当者に直接繋がることで無駄な電話対応がなくなります。
その他にも、「fondesk」などの電話代行サービスを利用することで、外線電話の対応を全て外注することで電話対応そのものを無くしてしまうのもおすすめです。
受付電話
忘れがちですが、固定電話を廃止する場合、来客を知らせる内線電話も使えなくなります。
そういった場合には、オフィスの受付にiPadを置いて受付をするクラウド受付システムの導入がおすすめです。
例えば「RECEPTIONIST」を使えば、会社で利用するビジネスチャットやアプリ、スマホへのプッシュ通知・着信音通知など、希望にあわせた様々な方法で来客を通知できます。
担当者へ直接来客を知らせるため、内線電話のような電話取次も不要になるため、固定電話の廃止に役立ちます。
ほかにも、来客記録の自動管理・保存によるセキュリティ対策や、来客の種類ごとにボタンや通知をカスタマイズするなど、オフィスの来客対応にまつわるあらゆる業務を効率化できるのでおすすめです。
固定電話の廃止に備えて早めの切替準備を
改めて、2024年1月に固定電話は廃止となり、電話回線がアナログ回線からIP網へ切り替わります。
まだ先の話と思いがちですが、切替により生じる業務上の問題などが今後さらに見つかる可能性も十分にあります。
固定電話の利用にこだわらないのであれば、早いうちから固定電話の廃止や切り替えを検討することで、固定電話に関するトラブルを回避することはもちろん、廃止によるメリットを得ることができます。
固定電話から脱却し、新たな働き方を取り入れるのを検討してみてはいかがでしょうか?
オフィスDXの第一歩として「受付のDX」から始めよう!
・リモートワーク環境が整わず、出社しなければいけない従業員がいる
・社内をフリーアドレスにしたいけど移行できずにいる
・来客対応がアナログなまま効率化できてない
・経団連が発表した「来訪者履歴」が自動で取れていない
・会社で利用するビジネスチャットをベースに効率化をしていきたい
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