リーガルテックとは?5つのサービス別機能や導入企業をご紹介【カオスマップあり】
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さまざまな業務の効率化やオートメーション化が推進される近年では、リーガルテックの需要も非常に高まっています。
今回は、そもそもリーガルテックとは何か?という点に触れたうえで、需要が高まっている背景や具体的な成功事例などを紹介していきます。
なぜリーガルテックが必要なのかという点を整理しつつ、自社にとって必要なリーガルテック製品を見極めていきましょう。
▼目次
リーガルテックとは、「法律」×「技術」を組み合わせた言葉
近年さまざまな業務シーンにおいて耳にすることの多い「リーガルテック」という言葉ですが、意味を詳しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
リーガルテックを意識した新しいサービスの提供、業務環境の整備を意識するためには、まず意味や定義をよく理解する必要があります。
はじめにリーガルテックの定義や、国内における現状について整理していきましょう。
「法律(リーガル・Legal)」×「技術(テクノロジー・Technology)」
リーガルとは法律を意味する言葉で、テックはテクノロジー、つまりは技術を表す言葉になります。したがってリーガルテックとは、法律と技術をあわせた言葉と解釈できます。
なお、矢野経済研究所によれば、リーガルテックの定義は「法律サービスの利便性を向上させるために開発されたITを活用した製品やサービス」だといいます。
近年、さまざまな分野においてIT活用は著しく求められるものになっています。デジタル技術の活用によってビジネスモデルの変革や業務効率化を目指す、DX(デジタルトランスフォーメーション)もこのIT化の流れから来ているものと考えられるでしょう。
つまりリーガルテックは法律分野におけるDXともいえます。IT活用によって法律関連の業務・サービスに新たな価値や仕組みを生むことを目的としています。
日本国内におけるリーガルテックとは
矢野経済研究所の調査によれば、リーガルテックは、2018年の時点で着実に市場規模を拡大しています。
出典:リーガルテック市場に関する調査を実施(2019年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
IT活用はあらゆる業務において進んでおり、リーガルテックの需要も今後ますます伸びていくものと考えられます。同調査の予測では、2023年には市場規模は353億円にも成長すると見られています。
日本でリーガルテックが広まる・注目されている背景とは
日本国内でリーガルテック関連のサービス・製品が求められる背景としては、さまざまな点が考えられます。
- 労働人口減少による人手不足
- 長時間残業や休日出勤などの常態化
- 新型コロナウイルス感染拡大防止に伴うリモートワーク化
労働人口の減少は、少子高齢化に伴って起きている問題です。日本企業であれば、どの企業でも今後直面する問題といえます。
また、人手不足に陥れば社員は業務をこなすために長時間労働や休日出勤を余儀なくされるでしょう。このような労働環境の常態化も、リーガルテックの需要が高まっている要因と考えられます。
これに加えて、近年のコロナ禍によるリモートワークの普及は、リーガルテックの必要性を以前と比較してさらに高めた要因といえるでしょう。
契約や登記といった法務にかかわる業務は従来型であれば書類や印鑑を必要とするため、出社が欠かせません。この状況からリモートワーク化を推進するには、ユーザーがオンライン上で業務を完結させられるリーガルテックの活用が重要と考えられます。
日本国内リーガルテックのカオスマップ
リーガルテックのニーズは、ITサービスやクラウド環境の普及に伴い、今後も拡大していくと考えられます。
ここで、電子契約サービスの「クラウドサイン」が発表している国内におけるリーガルテックのカオスマップを見てみましょう。
引用元:日本のリーガルテックカオスマップ2021を公開 | クラウドサイン
DX化の流れもあいまって、現在リーガルテックでは、文書作成や電子契約サービスを中心としてさまざまなサービスが登場してきています。
今後は契約業務だけでなく、デューデリフォレンジック、紛争解決・訴訟の分野も、徐々に注目度が高まっていくといえるでしょう。
法務業務のDX化が総合的に進めば、人手不足やリモートワークなどさまざまな課題解決に向けてアプローチが可能になるというメリットがあります。
主なリーガルテックのサービス内容と代表サービス例
リーガルテックには、前項のカオスマップを見てもわかるように、さまざまな種類のサービス・製品が挙げられます。
企業が行わなければならない業務の中で、法律がかかわる業務は多岐にわたります。分野ごとに求められる製品や機能は異なってきます。
- 電子契約サービス
- 契約書作成サービス
- 契約書レビューサービス(AI-CON)
- 電子データの開示・復元
- 登記・申請サービス
リーガルテックを取り入れて業務効率化やコスト削減を目指すには、まずどのようなサービス・製品があるのか知ることが大切です。
電子契約サービス
現在リーガルテックの代表ともいえるサービスが、以下のような電子契約サービスになります。契約業務の電子化に役立つサービスで、契約の迅速化・契約書管理業務の効率化に貢献します。
- クラウドサイン
- 電子印鑑GMOサイン
- DocuSign
契約書作成サービス
契約書のペーパーレス化に役立つのが以下のようなサービスです。テンプレートを活用することで、大量の契約書を効率よく作成することができます。
- LegalForce
- LeCHECK
- LAWGUE
契約書レビューサービス(AI-CON)
契約書レビューサービスでは、AIによって契約書のリーガルチェック業務を自動化できるのがポイントです。以下のようなサービスを取り入れれば、煩雑になりやすいリスク検知業務を効率的にこなすことができます。
- AI-CON
- LawFlow
- インテリジェント契約チェッカー
電子データの開示・復元
紛争に備えて消去されたデータの復元を行うには、専門ツールの活用が欠かせません。また、情報開示もトラブル解決には重要な役割を果たすため、以下のようなツール・サービスの導入がおすすめです。
- AOS Fast Forensics
- Lit i View XAMINER
登記・申請サービス
登記や各種申請業務の効率化やDX化には、以下のようなサービスが代表的です。リーガルテックといえば、現在は電子契約や契約書作成に関するものが主流ですが、今後は登記・申請にかかわるサービスも増えてくると考えられます。
- LegalScript
- Graffer スマート申請
- Toreru
【2022年6月追記】リーガルテックが違法!?AI契約審査サービスの適法性について
(6月)6日、経済産業省のグレーゾーン解消制度の活用事例公表サイトに「AIによる契約書等審査サービスの提供」の適法性を照会した事例が載り、「本件サービスは、弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があると考えられる」との法務省の回答が添えられた。
引用:AIで契約書チェックに「違法の可能性」 揺れる法曹界:日本経済新聞
こちらは、先程紹介した契約書レビューサービス(AI-CON)が、政府のグレーゾーン解消制度で適法性が紹介され、「違法と評価される可能性がある」ということを報じたものです。
結論としては「法的にクロに近いグレー」という状況となり、直ちにサービスや業界に影響が出るという問題ではありません。
今後はどのようなAIサービスであれば法的にシロとなるのか、サービスとしてのあり方を探りながら改善されていく方針となるでしょう。
また、それ以外のリーガルテックサービスについては、法的な問題は存在しないため、現状は問題ないといえます。
国内企業におけるリーガルテックの具体的な取り組み例
リーガルテックのサービスを取り入れて法務業務の効率化やDX化を目指すには、成功事例からヒントを得ることが重要です。
法律に関連する領域は、そもそも従来の考え方ではなかなかIT活用に結びつかないのが課題となっていました。
従来の紙ベースの業務のあり方から脱却できず、具体的にどのような取り組みを行えば良いのかわからないときは、まず以下の例を参考にしてみましょう。
契約インフラを整備して、契約管理の「脱・属人化」に成功|株式会社Jリーグ
株式会社Jリーグでは、契約に関する各種インフラの整備を行い、結果として業務の属人化という課題解消に成功しています。
まず同社では、案件管理の属人化や、従来型のアナログな契約管理業務について課題を抱えていました。
このような背景から契約業務の電子化に役立つツール導入を行い、これまでの契約情報の見える化を行いました。結果、過去の契約がすぐにわかることから、更新業務が楽になったと現場からは好評の声が上がったといいます。
また、規約改正プロジェクトにもツールを活かすことで、労務業務の削減にも成功を収めています。
契約書作成〜締結までのリードタイムを9割削減|三菱地所株式会社
三菱地所株式会社では、契約書作成・締結においてシステムを取り入れたことで、契約締結の大幅な効率化に成功しています。
同社では不動産関連の契約がメインになるため紙の資料がほとんどを占め、契約書も紙ベースとなっていたことが大きな課題でした。また、それに伴う回覧・製本等の業務負担が大きいことも問題視されていました。
そこで実施されたのが、契約書作成・契約締結を電子化できるツールの導入です。これにより作成から締結までのリードタイムを9割以上削減することに成功し、リモートワーク時の作業遅延も無縁のものとなりました。
もともと同社では契約締結には長いときで2週間もの時間がかかっており、このリードタイムの長さは深刻な課題でした。
これがツール導入によって最短1日という短さに短縮できたのは、業務効率化において大きな効果といえるでしょう。
契約書レビュー業務の精度・品質向上を実感|ENEOS株式会社
ENEOS株式会社では、煩雑で時間がかかりやすく、さらには品質の向上も困難になりやすい契約書レビュー業務を、ツール導入によって解決しています。
同社では事業の多角化に伴い、これ以上の人員増に限界を感じていました。法務部も10年で2倍の規模になっていたため、さらなる案件対応の効率化を目指すには、人員を増やす以外の対策が求められていました。
そこで実施されたのがリーガルテック製品の導入です。契約書レビューにシステムによるチェックを挟むことで、チェックの品質がまず大幅に上がったといいます。
契約書のリーガルチェックは、どれだけ多くの担当者が携わったとしても、人である以上ミスはどうしても起こってしまうものです。しかしその段階の一つにシステムが加われば、ヒューマンエラー防止に効果的に貢献できるという仕組みです。
リーガルテック導入で煩雑な法務領域の業務効率化を
リーガルテック関連の製品・サービスは、煩雑なものになりやすい法務領域の業務効率化・自動化に貢献します。さまざまな分野においてIT活用の重要性が言及される昨今、リーガルテックの需要も高まっています。
まずは成功事例からヒントを得つつ、人手不足などの課題に悩まされている業務においては、リーガルテック導入を積極的に検討していきましょう。
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