フィールドセールス
アップセル・クロスセルの違いは?顧客単価が確実に向上するコツ4選!
一般的に営業はたった一度顧客と接触し、商材を購入してもらっただけで終わるものではありません。本質的には反復継続して一人の顧客から継続的に注文を獲得することも必要です。
その取り組みの中で役に立つ考え方がアップセルの考え方です。
ここではアップセルという営業手法についてその概略から実際の方法、また成功事例までを解説していきます。
あわせてこの記事では、クロスセルやダウンセルとの違いについてもわかりやすく解説していきます。
▼目次
【概略】アップセル=顧客単価アップの施策
アップセルは顧客が検討している商品よりもランクの高い製品を購入してもらえるように訴求する施策のことをいいます。
これにより売上単価のアップや利益増大が見込め、結果的に営業担当者個人の成績や事業規模の拡大に大きく寄与します。
主にフィールドセールス(営業担当者)の中では従来から常識として捉えられていた考え方ではあったものの、特にアップセルという呼称が目立つようになったのはここ数年のことです。
近年になってアップセルという言葉が様々な業界で使用されるようになり、マーケティングの中でも基本的な施策として考えられるようになったというわけです。
クロスセル・ダウンセルとの違い
アップセルとセットで覚えておくべき用語にクロスセル・ダウンセルがあります。
それぞれ具体的には以下のような意味を持ち、アップセルとは住み分けられるべき手法であることを覚えておきたいところです。
またうまくこれらを組み合わせることによって円滑な営業活動が可能となるでしょう。
クロスセルとの違い
商品の単価アップではなく、別の商材を購入してもらうことで売上UPを狙うのがクロスセル。つまり訴求したい商品の単価はそのままに、別の製品を購入してもらうことで売上アップを狙う方法です。
ECサイトなどにあるレコメンド機能などもクロスセルの一種です。
ダウンセルとの違い
アップセルは顧客が購入する可能性が非常に高い状態で、さらに「ダブルアップチャレンジ」のようなイメージで獲得単価を増やすための施策のひとつです。
対するダウンセルについては、訴求している商材の購入に至らなかった見込み客の取りこぼしを防ぐため、より単価の低い製品や代替製品を紹介・訴求することによって最低限の売上を確保するための手段です。
よく間違われるのですが、アップセルに失敗したからといって製品の値段そのものを下げようとすることを「ダウンセル」と考えてしまうケースがあります。これはブランドイメージを毀損することにもつながるなど、デメリットが多すぎるので実践すべきではありません。
アップセルに欠かせない4つの方法&コツ
アップセルの方法とそのコツについて、具体的な方法を解説していきます。具体的には以下のような要素があります。
- トライアル期間の設定
- ボリュームディスカウントの提示
- 限られたリードへ特別キャンペーンの実施
- 口コミ・顧客の声の提示
ひとつずつ確認していきます。
トライアル期間の設定
上位商品はなかなか導入が難しいものなので、トライアル期間を特別に設定するなどプレミア感を演出することが重要です。
これにより「一度試してみた上でこの製品は良いものだ」と確信を持ってもらうことができます。
トライアル期間中のさらなるクーポン配布や試供品提供などの特典をつけることも有効です。
ボリュームディスカウントの提示
単価がアップすることによって社内稟議が通りづらくなるケースも「よくある話」です。
そこで、一定数量の発注があった場合には割引が適用できるなど「ボリュームディスカウント」を提示するなどによって、顧客にもメリットがあるように感じてもらうことが重要です。
限られたリードへ特別キャンペーンの実施
イメージ的にはハイブランドや宝石商など「プレミア感の演出が適している商材や業界」がよく実施する手法で、購入してくれた人に対して特別な特典をつけるようなイメージの施策です。
たとえば「特別なお客様のみの特別キャンペーン」といった企画を打ち出し、過去の購買履歴や接触状況から抽出された上位リードへ案内することで、更なる獲得につなげるといったものです。
口コミ・顧客の声の提示
訴求において何よりも強いのは、やはり顧客の声やポジティブなフィードバックです。
そこでアップセルの商品を購入した顧客からコメントをもらい、そのコメントを提示することによって顧客の心理的障壁を下げる効果が期待できます。
「この人が使っているなら間違いのないものだろう」という、顧客からの信頼獲得がアップセル成功の秘訣です。
アップセルのメリット4選
アップセルのメリットについて解説します。具体的には以下のようなメリットがあります。
- 顧客単価を効率的にアップできる
- 営業リソースを集中化できる
- 状況に応じてダウンセル・クロスセルに移行できる
- 信頼獲得によってLTVの向上が見込める
順に解説していきます。
顧客単価を効率的にアップできる
アップセルを実施する最大の目的がこの「顧客単価の効果的な向上」という部分です。通常であれば、ひとつの商材につき一定の金額しか成績が上がりません。
しかしアップするを実施することで別の商材の購入を訴求できることから、より効率的な売り上げ拡大が望めます。
営業リソースを集中化できる
アップセルはあくまでも既存の信頼関係が構築されている顧客に対して実施するものなので、同じ売り上げを追いかける中でも、新規営業と比較すると格段に効率が良いと言えるでしょう。
これによって営業リソースを「すでに案件獲得ができている上位顧客」に集中出来る事からより効率的な立ち回りが可能となります。
状況に応じてダウンセル・クロスセルに移行できる
状況によってダウンセルやクロスセルに移行できるのも大きなポイントです。
例えばアップセル訴求が難しい場合は顧客の反応を見ながら、ダウンセル(下位商材の訴求)・クロスセル(同価格帯の関連商材の訴求)へと移行することにより、より柔軟に販売戦略を展開できるという利点があります。
このことはいわゆる営業の「空振り」を最大限に回避できる特徴もあります。
信頼獲得によってLTVの向上が見込める
一般的にアップセルは、一度信頼関係を構築している相手に対する営業です。
そのためアップセルを実施した結果として顧客の満足度が高まり、次回以降の継続的な取引につながりやすい傾向があります。
このことは顧客から見れば、自分の課題や状況をきちんと理解しており、それでいて課題解決を一緒に考えてくれる担当者が一人ついているのと同じことです。
よって継続反復的なアップセル訴求も右肩上がりに受け入れやすくなる傾向にあります。結果としてLTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)の向上に寄与するというわけです。
アップセルのデメリットも理解しよう
アップセルにはメリットが多い一方で、デメリットも存在します。デメリットを正確に理解することでリスクを最大限に回避できるようにしましょう。具体的には以下のようなデメリットが考えられます。
- 顧客満足度低下の恐れ
- 顧客の信頼を失う恐れ
- 顧客流出の可能性
- ニーズの読み違えによるトラブルの恐れ
ひとつずつ確認していきます。
顧客満足度低下の恐れ
アップセルは顧客単価を上げる施策です。
それによって顧客は「顧客単価がアップしたから良いものを買おう」と思う反面、「こんなに高い買い物をして大丈夫かな?」と不安に思うこともあります。
結果、アップセルを断られたり、逆に買い控えられたりする可能性もあります。
顧客の信頼を失う恐れ
アップセルは時として、やや強引な営業をかけられていると顧客が感じてしまうことがあります。
「そんなに必死に売らなくてもいいのに」と思われてしまい、かえって逆効果になるケースもあります。
また状況によっては信頼そのものを失い、今後の取引が難しくなるケースもあるでしょう。
顧客流出の可能性
アップセルで訴求商材のグレードを上げようとした場合、それを理由に他社への乗り換えを検討する顧客が現れることがあります。
「こんなに高いならもっと安いところを探す」というのが一般的な心理であり、特にコスト意識の高いBtoBビジネスでの交渉では相見積もりへ繋がってしまう恐れもあるのです。
実際にこういった事例は業種・業界を問わず、過去何度も起こっています。
ニーズの読み違えによるトラブルの恐れ
アップセルが成立するのはあくまでも顧客のニーズを的確に読み取り、そして適切な提案ができた場合のみです。
つまり顧客の本当の要望を正しく認識できていなければ、いくらアップセルを訴求しても無駄に終わることになります。
また顧客の本音と異なるニーズを訴求してしまうと、場合によってはクレームにつながることもあるため注意が必要です。
アップセルに取り組む時の注意点
アップセルの取り組みにおいて注意しておきたいポイントをまとめました。具体的には以下の3つのポイントに注意しておくべきでしょう。
押し売り感を出さない
押し売り感を出すとそこで信頼を失う可能性が高くなります。
アップセルは一歩間違うと押し売りと感じられる可能性のある方法である、ということを考えなければなりません。
訴求が難しい場合はダウンセルなどに切り替える
アップセルのみが単価をアップさせる方法ではありません。
場合によってはダウンセルで取りこぼしを防ぎ、次回のアポイントへつなげるなど柔軟な対応が必要です。
訴求が難しい場合にはアップセルに固執せず、他の方法で最低限の関係維持と売上の確保に転じましょう。
あくまでも顧客目線での訴求を心がける
あくまでも顧客の課題を解決するサポートをするためのアップセルであることを忘れてはいけません。
顧客目線での訴求が外れてしまうと、上述の通り押し売り感が出てしまうことに繋がりかねないのです。
国内外のアップセルの成功事例3選
ここからはアップセルに成功している事例をご紹介していきます。主にBtoBでの成功事例についてまとめました。
事例1:株式会社大塚商会
ITソリューションサービスを中心に幅広い事業を手がけている業界大手、大塚商会。
同社は独自開発したCRM(顧客関係管理)を用いて、顧客企業の購入履歴や競合の情報を分析しています。
その情報はiPadを活用することで、リアルタイムで営業担当者が確認できるようになっています。それを元に競合企業と差別化を計り、ユーザーに合うアップセル訴求を実現させています。このアップセル営業により、大塚商会は成長を遂げているのです。
事例2:Dropbox(容量オーバー時に有料プランを訴求)
オンラインストレージサービスの老舗であるDropboxも、アップセルの考え方を採用しています。例えば無料で保存できるデータ容量をオーバーした際、有料プランの訴求が行われます。
これにより容量をオーバーしてでもデータを保存したい・クラウドストレージを今後も利用したいと考えるユーザーへ適切なアップセル訴求が実現しています。
事例3:Sansan社
法人向けのクラウド名刺管理サービスを提供するSansan社。
カスタマーサクセスの質を向上させて、アップセルを増やすことを軸に活動を行っています。
具体的にはカスタマーサクセスの成熟度を整理し、顧客のサクセスにより提供しているプロダクトへの信頼が向上し、追加受注に繋がるようになったという事例です。
アップセルで顧客単価とLTVを向上させる
アップセルは、顧客との「関係値」を積み上げることで初めて成立する「上位商材訴求を行う」施策です。
様々なメリットがある中で一番大きなものとしては、営業リソースが集中化できることによる業務効率の改善と、顧客辺りのLTV向上です。
顧客との信頼を深めていくためにはまずはヒアリングを行い、顧客の現状を把握した上で、最適なアプローチ方法を考えることが重要です。
また顧客との信頼を深めるために押さえておきたいのが「日程調整の効率化」という部分です。
例えば日程調整が疎かになってしまうと顧客と接触できるチャンスを逃すばかりか「この営業担当者は時間にルーズだ」と思われることになり、結果としてアップセルの訴求を阻害してしまいかねません。
調整アポなどの調整効率化ツールを利用して、スケジュールを最適化しましょう。
調整アポは、以下のようなことが可能です。
- 顧客からの日程打診 → 営業担当の日程をツールに入力し顧客へ調整URLを返送
- 顧客はURLに表示された対応可能時間の中から日程を選択 → 営業担当のカレンダーやグループウェアに自動的に通知
このことは顧客の満足度向上にも大きく寄与することでしょう。
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