対面でもリモートでも「ちょっといいですか」を実現するハドルミーティング
DX特集
2019年4月より働き方改革関連法案が施行され、企業は限られた時間の中で、今まで以上に効率よく生産活動を行っていく必要性が生じました。
その働き方改革の中で、特にフォーカスされるのは「会議の効率化」です。
ダラダラと無駄話が延々と続いたり、結局何のための会議なのかもわからず、時間だけが過ぎってしまった。など、非効率な会議に課題を感じているビジネスマンは多くいると思います。
その中で、より時間を有効活用できる新しい会議スタイルとして「ハドルミーティング」に注目が集まっています。
そこで、今回は今注目のハドルミーティングの概要から、実際に企業でハドルミーティングを導入するにはどうしたらいいかを解説していきます。
ハドルミーティングとは?
アメリカンフットボールの「Huddle」が由来
ハドルミーティングとは、「必要な時に、短時間(10分〜30分)だけ集まって行う会議」のことを指します。
元々、ハドルミーティングの「ハドル(Huddle)」とは、アメリカンフットボールの試合中に行われる、フィールド上で選手たちが円陣を組んで行う作戦会議のことを指します。
アメリカンフットボールの試合における「ハドル(Huddle)」の時間は25秒で決められており、その短時間の中で、情報の収集から次のプレーの指示・伝達を行う必要があります。そのため、1秒たりとも無駄にできず、効率的な情報共有が求められます。
このアメリカンフットボールのハドルの考え方をビジネスシーンの会議に持ち込んだのが、ハドルミーティングなのです。
必要な時に、必要な時間だけ
ハドルミーティングの一番の特徴は、「必要な時に、必要なだけ」集まって会議を行うという点にあり、従来のカンファレンス型の会議とは違って、「ジャストインタイム型」の会議スタイルです。
そのために、事前に会議室を予約して日程を調整をするなどの工程を踏まえずに、必要なメンバーだけがパッと集まって、終了したら即座に仕事に戻るという形式を取ります。
ハドルミーティングにおいては、会議室を予約しなければ会議ができないという概念がなくなります。
身を寄せ合って立合話ができるようなスペースさえあれば、そこがミーティングスペースとなり情報の共有やディスカッションを行うことができます。
企業によっては、ハドルミーティングができるハドルスペースを設置する企業も増えてきています。ハドルスペースは、通常の会議室とは異なり、すぐに移動してミーティングが行えるように執務室の中に設置されます。
会議室を増やすには大掛かりな工事が必要になりますが、ハドルスペースであれば、執務室や共有スペースのレイアウトを変更して、簡易的なデスクがあればすぐに設置が可能です。
至急の議題があるにも関わらず、会議室が埋まっていて会議ができないという課題はどの企業にもあると思いますが、ハドルミーティングを取り入れれば、緊急の時にスムーズに報共有を行うことが可能になります。
ハドルミーティングのメリット
無駄のない会議を実現する「ハドルミーティング」ですが、導入にあたって企業にもたらされるメリットについて詳しく解説をしていきます。
会議時間の短縮・生産性向上
ハドルミーティングの一番のメリットは会議時間の短縮と生産性の向上にあります。
先に述べたとおり、ハドルミーティングは、必要なときに必要な時間だけ、簡易的なスペースで行われる会議です。
それ故に、従来の会議室の予約や参加者の日程調整などの工数がなくなり、会議終了と共に即解散がハドルミーテイングのルールのため、ダラダラと無駄話が続くということもなくなります。
また、必要最小限のメンバーのみで会議が行われるため、自分自身が参加する必要のない会議に時間を取られるということもなくなります。
プロジェクトの円滑な進行を実現
プロジェクトの重要なタイミングで、ハドルミーティングを実施することで、情報共有の不備を補うことができます。
メールやビジネスチャットで情報共有ツールは数多ありますが、テキストベースのコミュニケーションでは情報の伝達の誤認識や漏れが発生する危険性があります。
誤認識や漏れが是正されないままプロジェクトが進行すれば、どこかのタイミングで大きな修正や見直しが求められる可能性があります。
プロジェクトのメンバーの情報認識の漏れやズレの確認をハドルミーティングで効率的に行うことで、ミスコミュニケーションでプロジェクトに支障をきたすという自体を未然に防ぐことができます。
会議室不足の解消
ミーティングをしたくても、会議室が空いていない。という課題は、企業の大小問わず往々にして発生し得ます。
かといって、会議室を増設するにはコストも時間もかかり、簡単に実行できることではありません。そんな課題に悩む企業こそハドルミーティングの導入を検討すると良いでしょう。
ハドルミーティングは、少し身を寄せるスペースさえあれば実施が可能な会議形式です。
簡単な情報共有やアイディアの可視化であれば、あえて会議室を取る必要もないという場合も多いと思います。
そういった内容であれば、ハドル形式で会議を済ませてしまえば、本当に会議室を必要としているメンバーのリソースを奪わなくて済みます。
従業員の意識改革につながる
ハドルミーティングを導入することで、会議の効率化の意識を高める効果が期待できます。
短時間で効率的な情報伝達を行うことがハドルミーティングです。より効率的な情報伝達や会議の進行を意識するようになり、通常の会議にもその意識が波及する効果が期待できます。
会議の非効率性は当事者だと中々気づきにくいです。ただ、ハドルミーティングを実践していくことで、効率的な会議の進行を体感することで、従来のやり方を見直すきかっけになります。
ハドルミーティングを導入のポイント
会議時間の短縮、生産性の向上など、メリットの多いハドルミーティングですが、次からはオフィス内でハドルミーティングを実践する上でのポイントを解説していきます。
必要なタイミングで、必要なメンバーのみを収集
ハドルミーティングは定例会などの定常的なミーティングとは異なり、突発的に必要性が発生した時に実施します。
そしてハドルミーティングを実施する際は、できる限り必要最小限にメンバーを絞る必要があります。
執務室の簡易的なスペースで実施することが多いハドルミーティングを、大所帯で実施するのは難しく、また情報伝達の効率低下を招く恐れがあります。
必要最小限に絞ることで、コミュニケーションの活性化や迅速な意思決定を可能にします。
また、ハドルミーティングはスピードが大事です。議題を消化したら、ダラダラと長話を続けずに、すぐに会議を終了させて、それぞれの業務に戻ることも忘れてはいけません。
アイディアの可視化・情報共有の重点を置く
ハドルミーティングは業務の報告や、複数のアジェンダがあるような会議には適していません。
それよりも共有事項を手短に伝えてネクストアクションを確認したり、また特定の議題に関するアイディアの共有を行うことに活用するとよいでしょう。
あれも、これもと欲張って様々な議題を扱っていては、ハドルミーティングのスピード感がなくなってしまいます。会議の目的は絞って、できる限り短時間で終わらせるようにするとよいでしょう。
誰でも簡単に実施ができる
ハドルミーテイングは、スピードと簡易制が大事です。そのため、必要な時に誰でも簡単に実施できることが重要です。
そのためには、オフィスの共有スペースや小さめの会議室をハドルスペースとして、確保しておくとよいでしょう。
仕切りのあるスペースがあることで、議論に集中でき、円滑なコミュニケーションや迅速な意思決定につながります。
ハドルミーティングを円滑にするオフィス環境
ハドルミーティングを導入するには、オフィス環境を整えることも重要です。以下では、執務室へのハドルスペースの設置と備品について解説をします。
ハドルスペースの設置
ハドルミーティングを実施しやすい、ハドルスペースを執務室に設置すると良いでしょう。
ハドルルームは少人数で予約不要で利用できる、執務室内のミーティングスペースです。
テーブルをソファーで囲んだソファースペースや、ファミレスのボックス席のような作りのファミレス型スペースなど、ハドルスペースの形式は様々ですが、特にオススメなのがスタンディングスペースです。
椅子に座らずに、立ったまま会議や業務を行うワークスタイルに注目があつまっており、座って業務を行うより健康的であり、生産性や創造性が向上するというデータもります。
無駄を省き必要最小限の情報共有を行うハドルミーティングであれば、わざわざ椅子に座らずとも、立ったまま議論をしたほうが生産的といえます。
座ってしまうとリラックスして、そのままダラダラと無駄話を続けて時間を浪費してしまう危険性をもありますが、スタンディングであればそういった危険性を最小限に抑えることができます。
ハドルミーティング向けの備品の用意
ハドルミーティングを効率化させるには下記のような備品があるとより良いです。
ホワイトボード
会議室の定番のアイテムです。議論や情報を可視化する上で、1つあるだけで円滑に会議を進めることができます。
スタンディングデスク
スタンディングでの作業するためには、通常のデスクよりも背の高いスタンディングデスクを用意すると良いでしょう。
ディスプレイモニター
PCを接続できるディスプレイ・モニターを置いておけば、PC画面を共有しつつ議論を進めることができます。
インタラクティブホワイトボード
インタラクティブホワイトボードとは、通常のホワイトボードとは異なり、板面がデジタル化されており、書き込んだデータの保存や、遠隔地との情報共有・共同作業に適しています。
Web会議カメラ
遠隔地のメンバーとミーティングをする場合は、web会議用のカメラ必要不可欠です。
また、Web会議のシステムにはZoomやGoogle Meetなどがおすすめです。
Zoomは、PCはもろん、スマートフォンなどのモバイルデバイスに対応しており、プライベートグループの設定やファイル共有の機能もあるため、遠隔地とのコミュニケーションが円滑に行えます。
無料でも十分な機能を利用することができるのもありがたい点です。
おわりに
ハドルミーティングは、会議時間の短縮やプロジェクトの円滑な進行を実現、会議室不足の解消など、メリットが多い会議形式です。
ハドルミーティングを取り入れることで、従業員のミーティングに対する意識も替わり、時間を効率的に使う意識が高まる効果も期待できます。
会議の効率化に課題を感じている企業は、ぜひハドルミーティングを取り入れて生産性の向上に取り組んでみてはいかがでしょうか?